自らのコンディションに自信。フィジカル面が著しく向上
「本田が交代させられた時、どういう表情をしていたか見たか? あとで映像も見たが、僕は『ペルケ(なんで)?』と唇が動いているように見えたね」
試合後、地元のイタリア人記者の一人がそんな話をした。インザーギ監督も試合後、民放TV局のインタビューで「本田は私に『あともう少しやれた』と言って来た」と話している。
たとえ疲労が溜まってようが、守備固めなどの戦術的理由があろうが、選手は自分の調子がいいと感じれば90分間プレイしたいという気持ちが働くものだ。過去取材した中には「交代させられるのは基本的に大っ嫌いだからね」という選手もいた。
もちろんインザーギが非情だとか、本田が不遜だとかいう話ではない。「それだけ本田が、自分のコンディションに自信を持っていたということの表れだろう。いい兆候じゃないか」と前述の記者は語っていた。
体もキレて、ボールコントロールも冴え、そして何よりフィジカルコンディションが良好。流れの中ではシュートを決められなかったキエーボ戦の本田だったが、素晴らしいFKの他にも、フィジカル面の向上が著しいこともプレイでアピールしていた。
ずばり言えば、それは相手選手とのマッチアップに見ることが出来る。この日、本田が相手にしたのは、キエーボの左インサイドMFヘテマイと、SBビーラギだ。
前節のチェゼーナ戦を研究し、ミランの中盤を寸断することに勝機が出てくると考えたコリーニ監督は、コンパクトな中盤のプレスを練って来た。
そして本田にはヘテマイが張り付き、ほとんど殴り掛からん位の勢いで激しくチャージをを行っていた。ビーラギと連動しての挟み込みも、頻繁にやっていた。
パスコースは塞がれ、サイドの方へとプレスで追い込まれる。昨シーズンまでだったら、確実にボールロストを連発していたようなシチュエーションである。だが本田は、良く耐えていた。