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Jリーグ 10年前

リーダーの風格漂う家長昭博。責任感あるプレーで大宮を残留へ導けるか

text by 青木務 photo by Getty Images

苦しい時でも家長がいるという安心感

 言葉数は決して多くない。試合後も淡々と振り返り、決勝点を挙げた清水戦の後も「たまたま自分が決めただけ」と言う。表情に笑顔はなく、現状に満足していない様子が伺えた。

 だが、彼の言葉で力を発揮する選手もいる。

 ルーキーの泉澤仁は、左から果敢に仕掛ける大宮の急先鋒だが、家長からは「とりあえず思い切りやれ」と声をかけられているという。

 何か特別なことを言うタイプではないのかもしれない。しかしだからこそ、何気ない言葉が若手の肩の力を抜き、持ち味を発揮させるのだろう。

 この清水戦は、大宮が勝てば順位を逆転できる試合だった。「順位のことは頭に入っていたが、試合に集中していた」と家長は話し、試合内容については「いい時間帯もあった。課題もあるけど、苦しい時に声をかけていければ」と、チームの中心としてやるべきことを全うする姿勢を見せた。

 誰もが頼りにする選手であり、家長も自分が引っ張っていくことを自覚している。

「責任ある立場なので、自分のことでいっぱいいっぱいにならないように。また次も試合があるのでしっかり準備したい」

 家長には余計な焦りが感じられない。ピッチ内では誰よりも落ち着いているし、試合を振り返る姿にも泰然自若とした様子が伺えた。

 今節戦うヴァンフォーレ甲府との勝点差は3。相手も必死に勝利を掴みにくるはずだが、大宮も負けるわけにはいかない

 残留に向けて緊張感ある試合が最後まで続くだろう。そんな中でも、家長は落ち着いていつも通りのプレーを見せるはずだ。その姿は、チームメイトにとって何より頼もしいものだ。

【了】

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