準優勝した相馬、教職課程を取った牧野
この夏、もっとも目覚ましい成果を挙げたのは相馬将夏(法政大4年)だ。法政大は8月の総理大臣杯に出場し、準決勝の専修大戦、相馬はチームを勝利に導くゴールを叩き込んでいる。決勝では流経大に1-2で惜しくも敗れたが、準優勝の成績を収めた。
「専修大戦の決勝点は、裏に抜けて、つま先でぎりぎり押し込んだゴールでした。自分のゴールでチームが勝つのは、やっぱり最高に気持ちいい。やみつきっすよ。試合後はLINEで約50件のお祝いメッセージが届いて。あんなの初めてだったなぁ。
それより、優勝できなかったのが残念。関東2部の法政にとって、冬のインカレに出場できる唯一のチャンスだったのに(総理大臣杯の優勝チームにはインカレ出場権が与えられる)」
一風変わった経験を積んだのが、牧野修造(中京大4年)だ。教職課程を取り、6月、愛知県の私立高校に教育実習生として赴任した。
「まぁ正直、かなりモテましたね。ハハハ。体育の時間、生徒のみんながめっちゃ絡んでくるので楽しかったです」
ハハハの言い方にカチンときた僕ではあるが、そこはぐっと堪えて話に耳を傾けた。
「先輩から『教職を取れる余裕があるなら取っておいたほうがいいよ』とアドバイスされて、科目を履修することにしたんです。最初はいまいち気乗りしなかったんですけどね。プロを目指しているのに必要ないでしょと。
でも、その人の言う『この先、選手生活が終わったあと、教員免許を持っていると選択の幅が広がる』という言葉には説得力があった。終わってみれば、教育実習に行ってよかったと思います。サッカー部の指導も手伝って、気づかされることは多かった。
選手たちのプレーを見て一番感じたのは、もったいないなぁということ。顧問の先生や僕から言われたことを懸命にやろうとする。けれども、言われたことしかやろうとしない。もっと自分のやりたいことを表現すればいいのにと、もどかしさを覚えました。
それをどう伝えればいいのか、どうすれば彼らがもっとサッカーを楽しめるようになるのか、ずっと考えていた気がします。今後に役立つだろうヒントをたくさんもらいました」