目に見えない洞察力や卓越した技術力で勝負する日本メーカー
日本サッカー協会が2014年8月、ナイキからのオファーを蹴って、アディダスとの契約延長を決定したように、日本でも、両社をめぐる熱いバトルが繰り広げられている【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】
このように莫大な費用をかける彼らは、どのような見返りを期待するのか。
アディダスについていうと、2014年W杯ブラジル大会では、ドイツ代表のレプリカシャツの販売枚数は200万枚を突破。これは、2006年に自国開催したW杯ドイツ大会時よりも30%も多い販売枚数である。
加えて、アルゼンチン、メキシコ、コロンビアのレプリカシャツもそれぞれ100万枚の大台に乗せ、終わってみれば800万枚の販売に成功。
試合球に施された『ブラズーカ』ボールに至っては、世界中で1,400万個が売れた。
アディダスによると、こうした結果から2014年上半期におけるサッカー用品の売り上げは、すでに20億ユーロ(約2,800億円)に達したという。
日本サッカー協会が2014年8月、ナイキからのオファーを蹴って、アディダスとの契約延長を決定したように、日本でも、両社をめぐる熱いバトルが繰り広げられている。
そうしたなか、日本のメーカーも負けてはいない。
ミズノは2008年秋、当時まだ世界的には無名に近かった本田圭佑とタイアップし、無回転シュートを可能にするスパイク『イグニタス』の開発に着手した。
そして迎えた2010年W杯南アフリカ大会で本田は、デンマークを相手に、あの感動的な、ぶれ球を叩き込むことに成功したのである。
資本力に頼ったマーケティング戦略が『bland visibility(ブランドの可視化)』であるならば、目に見えない洞察力や卓越した技術力を用いた商品は、唯一無二の日本ブランドである。
スパイクをはじめ、商品開発分野でも激しい戦いが展開されるなか、シャツの吸水性や撥水性、さらには軽量化についても力が注ぎ込まれている。
しかし、試合終了後に、勝利の雄叫びを上げる選手の汗がたっぷりと染み込み、ずっしりと重くなったゲームシャツほど、価値が高いものはないだろう。
フットボールチャンネルfacebookはこちら→
フットボールチャンネルTwitterはこちら→