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「ダメチーム」から「ドリームチーム」へ。イブラ不在のPSG、今季不調もバルサ撃破で一気に格上げ

text by 小川由紀子 photo by Yukiko Ogawa

“アンタッチャブル”な存在、イブラヒモビッチの不調

 この試合に大敗でもすればクビが飛ぶ、という噂が持ち上がり、後任候補にはマンチーニの名前が挙がるなど、薄氷を踏む思いで臨んだ試合だっただけに、彼のガッツポーズからは、なにか、ほとばしる気合いが伝わってきた。

「たしかに、現在のチーム状況はよくない」とブラン自ら前日会見で認めたほど、ここ数週間のPSGには不穏な空気が漂っていた。

 その大きな要因が、イブラの不調だ。5節のレンヌ戦の最中にくるぶしを傷めたのだが、その試合も最後まで出場し、4日後のアヤックスとのCL戦、続くリヨン戦にもフル出場して状態を悪化させ、ついに7節のカーン戦から欠場することになったのだった。

 アヤックス戦もリヨン戦も、無理してイブラを出す必要はなかった。PSGには、トップでプレーする機会を待ち望んでいるカバーニがいるのだ。

 しかしそれでもイブラを使うのは、イブラに関しては、彼本人に出場するか否かの決定権があるからだ、という裏事情がまことしやかに囁かれている。ブランは大事をとらせたいと思っても、イブラが「俺は出るぞ!」と言えば、出さざるを得ないというのだ。

 カタール政権下で生まれ変わったPSGの看板選手となり、リーグ得点王としてタイトルに貢献するばかりか、そのネームバリューで世界中から注目を集める広告塔にもなっているイブラなら、それくらいの条件をもらっていても不思議ではない。

 しかし、それには大きな弊害が伴う。一部の選手について、監督さえもアンタッチャブルな状況にあれば、他の選手にも監督の権限が軽視される恐れがある。

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