中央への意識が強すぎた本田。攻撃停滞の一因に
実際、このゲームプランはスタッツにも表れており、ポゼッション率は今季最高の61%を記録。さらに、チームはパス本数でも今季最多の386本を通しており、コーナーキック9本も今季最多の本数となっている。
しかし、結果は1-1。立ち上がりにバスケットボール並の“フルコートプレス”を仕掛けてきたチェゼーナに押されて開始10分で失点。その後、19分に本田が蹴ったCKからラミが決めて同点に追い付き、大半はボールを支配するものの、シュート数はミランの11本に対してチェゼーナは10本とほぼ互角。
試合を見てもミランの前線に人が集まり過ぎて窮屈な攻撃となってしまい、これまでのロングボールやサイドチェンジを生かしたスピーディーかつダイナミックな攻撃は見られなかった。
本田のアタッキングサードでのエリア別のプレー割合を見ると、中央が35.41%。本来の持ち場であるはずの右サイドの31.25%を上回る割合で中央にポジションを取っていた。得点への意欲を強めるあまり、中へ中へと意識がいってしまったと思われるが、ミランがバランスを崩した要因の1つとも言える。
後半28分にはクリスティアン・サパタが退場するなどミランにとって苦しい展開となり、「ゲームプラン通り」に試合を運んだのは、むしろチェゼーナの方だった。
もちろん、プレシーズンから4-1-2-3を採用し続け、ここまでの得点シーンはほとんどがカウンターという中でのシステム変更は難しく、今後を見据えて戦術に幅を持たせるためにも戦力的に劣る相手との試合でチャレンジすることも悪い選択ではない。
しかし、ユベントス相手の敗戦は想定内だったはずだが、エンポリ、チェゼーナとの2戦で勝ち点2というのは大失敗と言えるだろう。
現時点では“攻撃的ミラン”への移行は相当な難産になると思われる。そして、本田圭佑は「Who Scored.com」のレポートに「Counter attack threat」とあるように、実はカウンターでこそ相手に恐怖を与える選手だったのかも知れない。
【了】
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