特別な試合となった日豪戦。来日で気づいた課題
ジョーイズの今大会の目標達成への大きなターニング・ポイントとなったグループリーグでの日豪戦は、日豪両国をルーツに持つカレッティにとって特別な感情で臨む試合であったことは想像に難くない。
実力上位の日本を豪州が打ち合いの末でねじ伏せたその試合は、豪州の若い選手たちとカレッティに結果以上の大きな自信を植え付けた。現地で観戦した関係者によれば、試合後のカレッティは日本に勝って予選突破できたことをとても喜び、「日本に勝ったんだから、もう優勝しかない」という前向きな言葉も聞かれたと云う。
現在、彼が所属するジョーイズを率いるのは元豪州代表の名DFとして名を馳せたトニー・ヴィドマー。昨年、ジョーイズの監督に就任にした直後にヴィドマーは、「グラウンドを俯瞰できる広い視野を持つジョー以外に、このチームの“ナンバー6”(筆者注:中盤の底でプレーする守備的MF)を務められる選手はいない」と、長らく攻撃的MFを務めてきたカレッティをボランチにコンバート。それと同時に、彼を新チームのキャプテンに据え、以来、全幅の信頼を与え続けてきた。
カレッティは昨年、日本を訪れた際にJリーグ・アカデミーの練習に参加することで、自らと日本のトップレベルとの差を身をもって感じる機会を持った。そこで、日本の同年代のトップレベルの選手たちに混じると、自身の強みである創造性やスキルが通用はするものの、さほど際立たないことに気付かされたという。
その経験を経て「豪州にいてこそ、自分の強みがより発揮できる」と判断してからは、迷いが無かった。まずは豪州でのキャリア・アップに集中して努力を続けた結果、豪州国内の同世代の中で抜きん出たスキルと創造性を持つ選手として注目を集めるようになっていった。
そして、現在は、首都キャンベラにあるAIS(豪州国立スポーツ研究所)の育成プログラムに在籍。親元を離れてのホームステイ先は、FFA(豪サッカー連盟)所属の理学療法士の自宅という非常に恵まれた環境で、サッカー漬けの毎日を送りながら、日々研鑽を積んでいる。