この日誰よりも輝いた河野。溢れる技術を存分に活かし、守備でも奔走
4得点のうち3点に絡んだ河野の活躍が、味スタに歓喜を呼び込んだ。
先制点はこの背番号17が決めた。エドゥーがPA内で仕掛けると、グラウンダーで折り返す。完全にフリーとなった河野の仕事はボールをゴールへ流し込むだけだった。ラストパスをくれたエドゥーへの感謝を示していたが、河野の動きも秀逸だった。
エドゥーの仕掛けを確認しながら少しずつファーサイドに逃げ、相手DFの視界から消えた。徳島の守備陣がボールウォッチャーになり、河野を簡単に離してしまったという見方もできるが、ボールが来そうな場所にポジションを移動させた河野も抜け目なかった。
51分にエドゥーが獲得したPKも、きっかけは河野の頑張りだ。強めのスルーパスに反応すると、俊足を活かして追いつきラインぎりぎりのところで中央に折り返した。これを受けたエドゥーが相手のファウルを誘ってPKを得ている。
武藤嘉紀の3点目も、自陣でボールを持った河野が相手のマークを掻い潜りながら前進し、そこから送ったパスは決め手となった。
そして、得点に繋がるプレーだけでなく、守備での貢献度も高かった。奪われた後の切り替えが速く、球際ではしつこく相手に張り付いた。
3点目の武藤へのアシストも、その前に相手にボールを取られそうになる場面があった。だが河野は相手の圧力もお構いなしに前進していった。しなやかで力強い打開であり、ボールへの執着心が感じられる場面だった
78分に交代でピッチを退くまで、河野は攻守において走り続けた。
昨シーズンまでは出場機会に恵まれなかったが、今シーズンはフィッカデンディ監督の信頼を勝ち取り、高いパフォーマンスを見せている。攻撃的MFとして、リーグ屈指の選手に成長しつつある。
日本代表に選出された武藤はもちろん注目に値する選手だ。しかし、FC東京は彼だけではない。優れた技術と献身性を持ち合わせる河野も、チームを牽引する選手としてなくてはならない存在だ。
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