神戸に求められる試合を決める一発
「結果的に1-1で勝点1しか取れなかったという印象で、悔しいです。前半も後半も、全体的に自分たちのやりたいことができていたんですが、先に失点してしまったことが悔しかった」
これはヴィッセル神戸・安達亮監督が前節のFC東京戦後に語った言葉だ。
FC東京は森重真人と武藤嘉紀、神戸には森岡亮太という日本代表選手がおり、メディアの数も多かった。注目を集めた試合は、多くの時間で神戸がボールを握った。
最終ラインからビルドアップをしつつ、最前線の田代有三へシンプルに当てるなど、様々な方法でボールを運び、相手を押し込んだ。
FC東京が自陣で待ち構えていたため、自然と神戸がボールを保持したが、悪い奪われ方からカウンターを浴びるシーンは、前半ほとんどなかった。神戸の選手が工夫していたのだ。
「FC東京は守備から入っているように見えました。ただ、その守備が今日の我々には効いていなかった印象があります。もちろん我々はそうなるように1週間準備をしてきた」と、安達監督は話した。
相手の出方を見極め、やりたいことをさせず、自分たちは持ち味を発揮する。言うのは簡単だが実践するには難しい。
ボールを支配し攻撃を仕掛けたが、勝点3を手にすることはできなかった。失点直後にセットプレーで追いついたが、逆転ゴールは奪えず試合終了を迎えた。
「後半、相手が前掛かりになってきたところで、もうひとつ上の精度を要求していかなければいけなかった。もっと完璧に崩すシーンがあれば良かった。フィジカル的なところで精度を欠いた。後半の中盤あたりからは動き出しが単調になっていた」
今節の清水戦でも、神戸はポゼッションを高めながらゴールを目指すだろう。その中心にいる森岡は、前節も違いを生むプレーを見せていたが、安達監督には「もっとできる」と映った。森岡自身もシュートへの意識を口にしている。
攻撃を担う存在であり、森岡が活きなければFWにもボールが渡らない。清水に守備の不安があったとしても、そこを突けなければゴールは奪えない。
安達監督の中には90分通したゲームプランがあり、清水戦も勝つための策はあるだろう。後はそれを選手たちがピッチの上でどのように表現できるか。
清水を下し、再び優勝争いに名乗りをあげたいところだ。
【了】