｢オプションやバリエーションがあれば相手も迷う」

　試合後、米本拓司はこう振り返った。

「前半はやりたいことができなかったんですけど、後半は結構いい形で攻めることができていた。後半に修正できたのは良かったかなと思います」

　試合状況に応じてシステムを含めた戦い方を変えるのは、今シーズンのFC東京にとってお馴染みの光景だ。

　今節の川崎フロンターレとの多摩川クラシコは、リベンジがかかっている。

　4節の直接対決では0-4と大敗を喫した。マッシモ・フィッカデンティ監督が就任して日が浅かったこともあり、川崎にいいように攻められた。カウンターからの失点もあり、不用意なボールロストはなくしたい。

　また川崎は相手の守備に少しでも隙間があれば迷わずボールを付けてくる。神戸戦のように相手を自由にプレーさせてしまうと、失点を覚悟しなければならない。

　それでも、FC東京も同じ轍は踏まないだろう。戦術の浸透度は前回対戦時より間違いなく高く、相手の攻撃を抑えつつ、威力のあるカウンターにも磨きがかかっている。

　4-3-3や4-3-1-2のまま相手を押し切りたいという気持ちはある。それでも相手の出方を見ながらスムーズに試合を進めたい、と米本は言う。

「4-3-3で前から行って相手を押し込むのが理想ですけど、相手も対策とか考えてくると思うので、その中でオプションというかバリエーションがあれば相手も迷うと思う」

　リーグ序盤では、相手の対策を逆手にとることができなかったという。

「前半戦は、相手が迷ったところでまた変えてという、変える部分がなかなかうまくいかなかった。でも最近ではスムーズにできるようになってきたし、それが負けていない理由でもあると思う。でももう少し、勝つためには何か工夫をしないといけない。3戦連続引き分けなので、もう少し工夫して、みんなで話し合って準備できればいいかなと」

　3戦白星なしとはいえ、負けていないことは前向きな要素だ。今度はそれを勝利につなげることがミッションだ。

　FC東京は試合の中で今何をすべきかわかっている。優勝争いを演じる川崎に対しても、様々な顔を見せるだろう。

【了】

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