7月の残像がドイツにもたらすもの
一方、「『世界王者』が90分に強烈なシュートで決勝点を成し遂げる」として「イェロメ(・ボアテング)がバイエルンを救う」という見出しを付けたルール地方の地元紙デュッセルドルフ・エクスプレスの採点は次のとおり。ノイアー「2」、ボアテング「1」、ラーム「2」、ミュラー「3」、ゲッツェ「3」。
こちらはラームに「2」を付けて、先の2紙に比べると好評価である。デュッセルドルフ・エクスプレスもバイエルンのボアテングを「世界王者」として報じている。ルール地方の地元紙からすれば、ラームは「世界王者に相応しいプレーを見せた」ということなのかもしれない。
いずれにせよ、ブンデスリーガが開幕した8月であればいざ知らず、次のビッグ・タイトルである欧州選手権の予選も始まり、9月も半ばを過ぎようとしているが依然として7月に終わったブラジルW杯の残像を引きずっている。
もちろんW杯を制覇するということは、それだけ途轍もない偉業ではあるのだが、リオデジャネイロの決勝でアルゼンチン代表を下し黄金の杯を掲げた面々は、やはりまず「世界王者」として見られるのである。
ブラジルW杯ドイツ代表の面々は、栄光を掴んだ後のブンデスリーガの戦いで、より一層の厳しい視線に晒されるようになった。少なくとも日々ドイツ全土で発行される大衆紙ビルトはそう見ている。大衆紙がそう見るということは、ほとんどの大衆がそう捉えてしまうということだ。
しかしそうした視線がブンデスリーガに「世界王者」がいることのプライドと緊張感をもたらし、ドイツサッカーはさらに前進を続けていくのである。
【了】
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