ピッチ上でリーダーシップも。チームの成長に大きなプラス
90分を通して見れば、4-3-3の生命線となるアンカーのポジションを整理しきれていないと感じさせられる場面が多かったことは確かだが、A代表のコーチも兼任する手倉森監督が期待するだけの資質を示したことも確かだ。
高い機動力を活かし、コンタクトプレーや1対1の局面で相手に自由を与えないことに加え、状況に応じて周りを動かすことで、中央に侵入スペースを許さない。後半の途中からは選手たちの判断で4-2-3-1に変更したが、右のボランチとして攻撃参加を増やし、惜しいチャンスに絡んだ。
今大会はキャプテンマークを大島が巻くが、ピッチの中でリーダーシップを取れる遠藤がアンカーやボランチのポジションにいることで、全体の戦術意識を統率しやすくなる。試合で出た課題に対する冷静な分析も、チームが成長して行く上で大事なポイントだろう。
もともとのポジションはCBで、湘南でも躍進の原動力になっているが、国際的なレベルをイメージした時に、守備的なMFとしての可能性は非常に高いものがある。
現時点で組み立てや攻守のバランスに課題があるのは仕方ないところだが、この難しいポジションでも常に状況に応じた最善のプレーを意識し、周囲と意欲的にコミュニケーションを取っていることはイラク戦でも見て取れた。
様々なシステムを使いこなすことを1つのテーマに掲げる手倉森監督だけに、今後の戦いで4-3-3を固定することは無いだろうが、この大会を勝ち進む過程で、遠藤がさらにポジションのイメージを高めていけば、そのままA代表につながっていく可能性がある。
CBとしての資質を否定するものではないが、岩波拓也、植田直通、西野貴治と、かつてないほどDFのタレントに恵まれた世代でもあるだけに、遠藤がアンカーとして新境地を切り開いていくことは、この先の日本の財産になっていくかもしれない。
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