タスクを忠実にこなし、体を作った努力の賜物
そして37分の本田のゴールシーンでは、さらに良い形でそれぞれの動きが噛み合った。メネズは中盤に引き、より前線に近いほうへいた本田はサイドから中へと絞ってデ・チェリエを吊り出す。その吊り出したスペースには、アバーテがポジションを取った。
そこにまたもメネズが、正確なミドルパスでスイッチを入れる。そして本田は鋭角に走り、DFの視野から逃れてゴール前のスペースに走った。そこにアバーテから、ドンピシャのタイミングでクロスが入り、シュートへと繋がった。
こういった選手たちの煩雑な動きは、インザーギが監督になって大きく変わった部分の一つだ。昨シーズンは誰が言っても真面目にマークを外す動きをしないバロテッリを筆頭に、足下でボールを貰いたがる選手ばかりだった。本田もその中に巻き込まれていた節もあったが、今は運動量を要するこの動きをしっかりこなしている。
そしてメネズの空けた前線のスペースへ飛び出し、フィニッシャーとして結果を出した。新たに磨かれつつある本田のゴールセンスは、インザーギの立てた戦術上の産物。そして用意されたタスクを忠実にこなし、そのために必要な体作りも行った彼自身の努力の賜物でもある。
もっとも本田に言わせれば、コンビプレーが巧く決まった要因は「それぞれ個があって、いい形でたまたま出たもの」らしい。偶発的でなく、コンスタントにこういった形を作れるかどうか。次節のユベントス戦は、改めてその完成度が問われる機会となるだろう。
【了】
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