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日本代表 10年前

まるでW杯のオランダ代表――。初戦に快勝、手倉森ジャパンが見せたダイナミックなスタイル

text by 河治良幸 photo by Getty Images

グループを首位通過する意味

 後半は運動量豊富な両SBの攻撃参加も中盤のビルドアップとうまく絡み、クウェートの守備に後手を踏ませた。後半5分の鈴木による追加点を生んだCKは、中島の展開から右SBの室屋成が鋭い仕掛けで獲得したものだ。

 その後も攻勢を続ける中で、セットプレーからGKの牲川歩見がクロスの処理を誤り、岩波のクリアが甘くなったところを押し込まれたことは反省点だが、CKから岩波がしっかり取り返す形で3点目を奪い、終盤には鮮やかなつなぎから室屋のクロスに鈴木が合わせる形で3点差に広げた。

 試合の4日前には大学選抜を相手に苦しみながらスコアレスドローに終わり、不安の声もささやかれたが、対戦相手を研究し、しっかり初戦に照準を合わせたところは手倉森監督の面目躍如だ。今年1月のU-22アジア選手権で引き分けたクウェートに大勝する形で初戦を飾ったことは、優勝候補イラクとの一戦に向け大きな弾みとなる。

 この試合の前には弟分のU-16日本代表がタイで韓国に敗れ、残念ながら来年チリで行われるU-17W杯の出場権を逃したが、グループリーグで首位通過を逃したことが大きく響いた。

 3戦目のネパールは明らかに力が落ちることから、クウェートに勝ったことで決勝トーナメントに大きく前進したことは間違いないが、首位通過を目指してイラクに全力でぶつかってほしいところだ。

 その手倉森監督は状況に応じて複数のシステムを使いこなせるチーム作りを目指している。柔軟性の高い5バックをそのまま採用するのではないか。イラクの攻撃力、特に前線のパワフルな仕掛けを止めるには3人のストッパーを置く形が適している。

 ただ、相手は快速FWのカラフを中心に3トップで来る可能性も高く、両SBを含めたよりタイトな守備に加え、中盤のミスパスでボールを失わないための正確性も要求される。互いにセットプレーの得点力が高く、その攻防も生命線になりそうだ。

【了】

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