失敗の理由を分析した上で組織形態を再考すべき
前身の大日本蹴球協会として設立された1921年から、日本協会は少しずつですけれども、常に何かを模索し続けてきました。長い歴史の中で迎えた一大転換期がJリーグ創設です。1993年を境に、選手や指導者はもちろんのこと、ある意味では役員の中でも初めてプロという意識が表面に出てきたわけです。
Jリーグの誕生に続いてW杯を日本で開催することになり、これまで経験をしたことのない挑戦が幕を開けました。同時進行で、日本協会の組織も財政規模も急激に膨らんでいく。そうした流れの中で生み出されたのが『JFA2005年宣言』でした。あらゆる物事がすこぶる順調に膨張していったのですから、10年後には約束の数字に到達するだろうと考えられたわけです。
こうした経緯を僕も知っているので、9年前の宣言に対して、先が読めていなかったなどと批判するつもりはありません。当時といまとで、FIFAランキングの算出方法が異なっているという事情もあります。世界のサッカー界から見れば、5大会連続でW杯に出場するなど、日本はわずか20年足らずの期間で過去に例のない伸び方をしている。必然的にどこかでひずみが出てきますよ。
そうした問題をいつ整理すべきなのか。失敗を認め、約束を達成できない理由を分析し、次の目標年をいつに設定するのか。それらを達成するためには、どのような組織形態が求められるのか、という観点から日本協会のガバナンスも考えていかなければならない。
長期目標が2050年で設定されていることを考えると、個人的には次の中間目標は2025年に据えるべきだと考えています。そこでどのような約束を掲げるのか。大仁会長のもと、これからの2年間における日本協会の総意として取り組んでいく課題ですよ。今回のW杯で日本代表がグループリーグ敗退を喫したことは、いい意味でのショックと受け止めるべきだと僕は考えています。
【了】