信頼回復へ、正念場を迎える山村
いよいよ首位を射程圏内に捉えた鹿島アントラーズだったが、前節・FC東京戦は2点のリードを奪いながら引き分けに終わった。奪われた2点は、いずれも防げた失点だった。
1点目はエドゥーによるPKだが、エリア内でファウルを犯したのは山村和也だった。浮き球を処理しようとして武藤嘉紀と交錯、先にボールに触った武藤の足を引っ掛ける形でのファウルだった。臆せずボールに向かった武藤が一枚上だったが、山村の判断も軽率だった。
2点目はPA内のボールをGK曽ヶ端準にキャッチさせようと相手とボールの間に体を入れたが、追いすがる武藤にプッシュされた。
今シーズン、山村は途中出場が続いており、スタメン出場はこの試合が初めてだった。失点を招く判断ミスは、試合勘のなさを象徴するものだ。
ここまで昌子源と植田直通がレギュラーとして戦ってきたが、この日は植田が出場停止。そんな中で迎えた出場機会だったが、監督の信頼を勝ち取るパフォーマンスを見せることはできなかった。
スタメン争いが激しい鹿島ではあるが、主力3人を同時に欠く状況はひとつの試練だった。山村もこの試合では致命的なミスで失点に絡んだが、ここで腐ってはいけない。それは本人が一番よくわかっていることだろう。
U-21日本代表の一員としてアジア大会に出場するため、植田は大宮戦も不在となる。また、前節のFC東京戦で退場処分を受けた青木剛は出場停止。今節も山村が出場する可能性が高い。
2010年に日本代表のサポートメンバーとして南アフリカW杯に帯同、2012年にはその年の最注目選手として鳴り物入りで鹿島に入団した。輝かしいキャリアの中で近年は出場機会が限られている。だが今は彼にとってチャンスである。能力の高さは申し分ないだけに、あとは自信を持って戦うだけだ。
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