試合時間もテレビ中継の都合次第に
ところで、放映権と言っても、テレビという媒体がなければ何も始まらない。
ハードコンテンツであるテレビ本体の価格について、日本国内を例に過去20年間の推移を見てみると、当時と比べて現在の価格は、およそ3分の1にまで値下がりしている。
欧州でも似たような価格推移だと考えられるが、対する放映権というソフトコンテンツについては、それに逆行する形で、ずっとインフレ状態が続いているのである。
欧州サッカー5大国のなかで、1963年に創設されたドイツ・ブンデスリーガがもっとも新しいものの、それでも半世紀にわたる歴史を誇る。そのことからもサッカービジネスは、IT産業などとは違って、れっきとした既存ビジネスだと言えよう。
しかしながらこの20年間で、既存産業では有り得ないほどの急成長ぶりを遂げ、それに多大な貢献を果たしたのは、まぎれもなく放映権料の高騰である。
しかし、こうした放映権料が拡大する一方、例えばCLの場合には、視聴者のゴールデンタイムに試合時間を合わせることから、ロシアとカザフスタンを除き、どの試合会場でもキックオフは、中央欧州標準時の午後8時45分と決められている。
そのため、例えばウクライナでの試合は、午後9時45分に始まり、試合終了を告げるホイッスルが吹かれるころには、時計の針は午後11時30分ごろを指している。フィールドに立つ選手たちには、試合とは別の疲労も重くのしかかってくるだろう。
今後、放映権料の高騰にも、疲れが出なければいいのだが。