欧州CLの放映権収入は20年間で20倍
また、2010年南アフリカ大会では、FIFAが得た36億ドルのうち、3分の2に相当する24億ドル(約2,400億円)が放映権による売り上げである。
つまりIOCと同様、FIFAも観客を募る努力もしなければ、試合会場の警備や管理はもちろん、後片付けを心配することもなく、グッズ販売においても、生産から販売、さらには売れ残りリスクを考える必要すらないのである。
しかし問題なのは、FIFAだけではなく、UEFAにもその甘い汁が飛び散っている点であろう。
UEFAが主催する主な大会は、毎年開催されるCLと欧州ヨーロッパリーグ(EL)、それに通称ユーロと呼ばれる4年に一度のヨーロッパ選手権である。
欧州チャンピオンズ・クラブズ・カップが1992年にCLに改められたことや、90年代後半からの衛星放送と有料放送の急速な普及によって、UEFAが稼ぐ放映権ビジネスも、うなぎ上りになっていった。
CLとして新たなスタートを切った92/93シーズンの放映権収入は、現在のユーロに換算して4,500万ユーロ(約62億円)だったが、11/12シーズンには、収益が11億5,300万ユーロ(約1,590億円)にまで膨れ上がり、放映権収入は、その77%に相当する8億9,200万ユーロ(約1,230億円)にも達した。
つまり20年間で20倍という驚異的な伸びを記録したのである。
ウクライナで開催されたユーロ2012については、収益13億9,000万ユーロ(約1,918億円)で、放映権収入は、60%に相当する8億3,700万ユーロ(約1,155億円)。
加えていうならば、11/12シーズンのELについては、収益2億1,900万ユーロ(約302億円)のうち、なんと94%の2億600万ユーロ(約284億円)が放映権収入で占められる。
CL決勝は、世界中で1億5,000万人がテレビの前に釘付けになると言われている。五輪やW杯が4年に一度の開催だということを考えると、毎年行われるサッカーイベントとしてはCLが世界最大級であり、さらにいうならば、それに4年を掛け合わせると、W杯をはるかに超える収益を叩き出しているのである。