4年に一度のW杯が収益全体の約90%を占める
しかも、話はそれだけには留まらない。こうしたスポンサーシップとライセンス料を足した金額よりも大きいのが放映権料なのだ。
IOCの発表によると、2010年バンクーバー五輪と2012年ロンドン五輪を合わせた放映権収入は、総額39億1,460万ドル(約4,000億円)。まさに巨額という言葉以外に見つけようがない。それほど五輪は儲かる商売なのである。
サッカーについても同様、FIFAにとって最大の稼ぎ手となるのが4年に一度のW杯である。4年間の事業活動のなかで、たった1回のW杯による収益が全体の約90%も占める。
2006年ドイツ大会でFIFAが得た収益は17億ドル(約1,700億円)で、営業利益は12億ドル(約1,200億円)。ところが2010年南アフリカ大会では、収益はその倍に膨れ上がり36億ドル(約3,600億円)にも達し、営業利益は、23億ドル(約2,300億円)にも及んだ。
しかも、2014年ブラジル大会での利益はさらに増え、40億ドル(約4,000億円)とも噂されているなかで、例えばコストの一部である大会賞金は、優勝国ドイツへ3,500万ドル(約35億円)が手渡された。
さらに、その他のベスト16の国(残り15カ国)への分配金総額は、3億1,300万ドル(約313億円)で、FIFAが得たであろう営業利益の1割にも満たない。
FIFAによると、残った利益は、ワールド・カップ・レガシー・トラストへの寄付や、彼らが主催するアンダー世代のU20やU17のW杯、あるいは女子の大会等の運営費に充当するというが、その総額は1億ドル(約100億円)程度でしかないため、それを引いたとしても、余りある大金が手元に残ることだろう。
その一方で、開幕前にブラジル全土を巻き込んだ、社会福祉問題をめぐるW杯開催反対の大規模な抗議活動が物語ったように、開催国は、数千億円とも1兆円とも言われるスタジアム建設費用などの多額の設備費用の負担を強いられるなか、得られる収益は、マッチデー収入とグッズ販売によるコマーシャル収入だけなのである。
だからこそ、開催国からは、こんな恨み節さえ聞こえてくる。「濡れ手に粟のビジネスを欲しいままにしているのはFIFAだけだ」と。