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他部門の損害を帳消しにする莫大な放映権料
『もうは、まだなり。まだは、もうなり』
外国為替や債券、株式相場で、昔から囁かれている格言である。もう上がらないだろうと思っていると、まだ上がり続け、まだ上がるだろうと期待していると、もう下げ相場が始まっているという意味である。
この言葉を、高騰を続ける欧州サッカーの放映権料に当てはめてみると、どちらの言葉が適切なのだろうか。
放映権の代表格といえば、欧州全体としては、UEFA(欧州サッカー連盟)が主催する欧州チャンピオンズリーグ(CL)であり、国別ではイングランド・プレミアリーグ、クラブ別にみれば、スペインの2強であろう。
ところでスポーツビジネスといえば、オリンピックを抜きには語れない。
オリンピックが商業化の一途をたどり始めたのは、1984年のロサンゼルス大会からだと言われている。以来、国際オリンピック委員会(IOC)は、放映権収入で強固な屋台骨を作り、スポンサーシップとライセンス収入で壁囲いをしながら、大きなドル箱を作っていった。
2012年ロンドン五輪では、クレジットカードによるグッズなどの購入は、公式スポンサーに名を連ねたVISAカードしか使えなかった。
また、この大会でマスコットにされたのは、一つ目のウェンロックと名付けられた架空の生き物である。競技会場やヒースロー空港内など、どの公式グッズ売り場にも置かれていた。
しかし、それを制作したデザイナーや主催者側の気持ちとは裏腹に、当初よく買われたのは、ウェンロック人形そのものではなく、不評だった。
そのため大会終了後に、もしウェンロック人形がリアルな在庫として積まれてしまったとしても、IOCの懐に入る多額のライセンス料については、架空のものにはならなかった。