日本がどういう交代のカードを切ってくるかは予めわかっていた
――それでは日本の弱点はどこにあると分析していましたか?
どのチームもそうだけど、弱点は対戦相手が技術的・戦術的によく対応したときに露呈する。日本の場合はテクニックに優れ、ボールを保持してパスを繋ぐことを好む。さっきも言ったけど、サイドが強く中盤から前線にかけてスピーディにパスを回す。ではその長所が消されたときにどうするのか。コレクティブな解決策を見いだすまで、忍耐強くプレーするのか。あるいはセットプレーの威力を最大限に利用し、選手個人の力で問題を解決しようとするのか。メッシやロッベン、ハメス・ロドリゲス、ミュラー、ゲッツェといった選手たちは、ひとつのプレー、ひとつのリズムの変化・加速化でしばしばチームの苦境を救う。だから日本に関してもよく分析をして、あらゆる問題を事前に解決していた。
これならいけるという感触はあった。じっと我慢していれば、反撃のときはやって来る。僕らがペースを握って、効率よく攻撃できるときが必ず来ると確信していた。
――つまりすべては予想通りの展開だったということでしょうか?
僕が自分の口からそう言うと傲慢になるけど、逆に言えば日本のプレーに関して予想外の驚きは何もなかった。先制点を与えてしまったのは、本田の個人技に対して集中力と注意を欠いたからで、日本の選手たちのボールタッチが危険であることはよくわかっていた。それに瞬間的にすべてを予測して対応できるわけじゃない。高いレベルのサッカーとはそういうものだろう。
(中略)
――戦術面でも読みが当たったように見えました。
日本がどういう交代のカードを切ってくるかは予めわかっていた。彼らには遠藤、僕らにはドログバという切り札があった。遠藤が入れば、日本は攻撃のリズムが加速化する。しかし同時に彼のサイドの守備は弱体化する……(続きは『フットボール批評issue01』にて、お楽しみ下さい)。