ウェンブリー・スタジアムの半分が空席となった代表戦
2014-15シーズン初の代表ウィークにして、新生イングランドへの期待は高まった。最低レベルからの期待度上昇ではある。新たにウェイン・ルーニーが主将を務める代表の初陣は9月3日の親善試合。ノルウェーを迎えたウェンブリー・スタジアムは半分以上が空席だった。
観戦プログラムの表紙には「A NEW JOURNEY(新たな旅路)」の文字。生憎、4-4-2の陣形で創造性も覇気も乏しいパフォーマンスは、黄金期を迎えるはずが実際には暗黒期とまで言われた前世代の「難路」が続いているかのようだった。
0-0で前半が終了すると、辛うじて4万人を越えた観衆の間から軽いブーイングまで漏れた。中継局ITVが使用したキャッチコピーは「NEW DAWN(新たな夜明け)」。だが、ルーニーのPKによる辛勝(1-0)が醸し出したムードは、むしろ暗い「日没」を思わせた。
しかし、その5日後のEURO2016予選第1節スイス戦(2-0)では、アウェイに駆けつけた約2500人のサポーターが、拍手喝采で新たな「出発」を祝う結果となった。1試合遅れで新時代の幕が開いたことを告げた選手は、2得点のダニー・ウェルベックでもなく、先制点へのカウンターを仕掛けたルーニーでもない。ラヒーム・スターリングだ。
トップ下で先発した19歳は、スターリングと行く「EUROへの旅路」を予感させた。その意味では、「70分遅れ」の幕開けと言うべきかもしれない。新生イングランドのテーマである攻撃は、スターリングがダイアモンド型に変形された中盤の頂点を任された、ノルウェー戦ラスト20分間から活性化の兆しが見られたのだ。