もともと『サッカー批評』はどのように制作されていたのか?
「宇都宮さん、徹マガでウチを取材に来ていただけませんか?」と、久々の逆取材依頼をいただいた。声の主は、前『サッカー批評』編集長の森哲也さん。このたび、自らが編集長となって新たに立ち上げる『フットボール批評』について話したい、とのことだ。この件については、以前にも徹マガ巻頭コラムで触れているが、やはり読者の間では少なからぬ混乱があるようである(参照http://matome.naver.jp/odai/2140720520617117601)。
あらためて概要を説明しておこう。これまで69号続いた『サッカー批評』は、もともとは版元である双葉社の編集者である真井新(まない・しん=故人)さんと、初代編集長でフリーランスの半田雄一さんによってスタートした。その後、半田さんが編集長を降りた23号からレッカ社(のちにグループ会社のカンゼン)が製作・編集するようになって今に至っている(森さんの所属もカンゼンだ)。
その関係を解消し、『サッカー批評』の製作・編集を再び双葉社に戻し、大々的にリニューアルする、というのが今回の話の発端である。これに対して森さんは、長年にわたり硬派な批評誌を世に送り出してきた自負から「カンゼンで新たな雑誌を立ち上げたい」と強く望むようになり、双方話し合いの末に『フットボール批評』をカンゼンから創刊することとなったのである。
ややこしいのは、今度出る『サッカー批評』が、かなりリニューアルしたものになるのに対し(もしかしたら批評色は薄れているかもしれない)、新たに立ち上がる『フットボール批評』は編集長が森さんということもあって、これまでの『サッカー批評』とスタイルや内容がかなり近くなる、ということだ。おそらくこれまで『サッカー批評』を愛読していた人は、無意識のまま『フットボール批評』を書店で手に取ることになるだろう。
今後、2つの批評誌が並走すること自体は、むしろ歓迎すべきことなのかもしれない。が、なぜこうしたねじれの状況が生じたのかについては、きちんと説明してほしいところだ。幸い、森編集長からも直々に取材のオファーをいただいた。ここはひとつ、事の経緯と今後の展開をきちんと語っていただくことにしよう。読者の皆さんには、どちらの批評誌を購読するか、ひとつの目安としていただければ幸いである。(取材日:8月29日)