「毎日のシュート練習が実を結んだ」
アギーレ監督も武藤の潜在能力の高さを認めたのだろう。9日のベネズエラ戦(横浜)では、ブラジルW杯メンバーの柿谷曜一朗(バーゼル)に代わって後半頭から3トップの左で出場。
その立ち上がりの6分に水本裕貴(広島)のロングパスを岡崎慎司(マインツ)がDFと競ったこぼれ球を拾った武藤が一気にドリブルで持ち込み、左足を一閃。アギーレ体制初得点を奪ったのだ。
「GKはたぶん、あの段階で打つとは思わなかったんじゃないかな。(クリアを拾った段階でゴールのイメージは?)全然なかった。どっちかと言うと1人目がファールを狙っていた分、抜けると思っていたけど、そこで倒れなければ絶対にチャンスになると思っていたので何とか耐えました。
パスの選択肢がある中でもシュートを打つことでGKも迷うと思っていたので、あそこは思い切って打ちました。決まった瞬間の大歓声はあまり聞こえなかった。時が止まった感じですかね。『決まっちゃった』という感覚かな。
今までJリーグでだいぶシュートを外してきて、シュート練習を毎日かかさずやってきたことが実を結んだと思います」と武藤は不思議な感覚に襲われたことを明かした。
その後も彼は1トップの岡崎に引っ張られるように高い位置を取り、本田や長友、柴崎岳(鹿島)らと絡みながらゴールに向かった。その思い切りのよさは指揮官のみならず、見る者を魅了した。
まだ粗削りだが、抜群のスピードと出足の鋭さ、左足の精度の高さで世界レベルの相手に対しても脅威になれることを、彼はしっかりと示したのだ。
「(Jリーグ1年目、半年で代表に入った心境は?)最初、これだけ早くここまで来られるとは思っていなかったけど、自分に与えられた舞台で活躍しなければいけないのがサッカー選手。
そこで毎回コンスタントに結果を残すことが必要だと思うので、そういう意味で今回得点に絡めたことはプラスだったと思います」