ウルグアイ戦の戦い方を4年間貫くわけではない
初陣でアルゼンチンを破る最高のスタートを切ったザッケローニ前監督は「相手や状況によっていくつかのシステムを使い分ける。カメレオンのようにね」と語っていたが、実際には固定的な戦い方で“自分たちのサッカー”を追求。W杯の舞台で望み通りの結果を残せなかった。
特定の方向性を突き詰めるスタイルが悪いわけではないが、真剣勝負の場で詰めも柔軟性も欠いてしまったこと、そうした戦い方を貫くには日本代表が力不足だった。それにしても、大きな変化を経験することになったものだ。「方向性は間違っていない」ということを選手たちの多くが語っていたが、発想としては180度の転換になる。
原博実専務理事が「今の日本には相応しい指揮官」と語ったアギーレ監督は当初、これまでの傾向から“堅守速攻”を志向する監督としてイメージされていたが、実際はよりフレキシブルな戦い方をする、いわば権謀術数の指揮官であることは過去に率いてきたクラブでの戦いぶりからも分かる。
ウルグアイ戦では自陣寄りにブロックを築き、ボールを奪ったら素早く展開するか、FWに当てるか、中盤でボールを保持することより、守備を固めながら効率よく前線に運ぶ攻撃が目立ったのは確かだ。
結果的に大きなチャンスをあまり作りだせず、2つのミスを突かれる形で敗れたが、このウルグアイ戦で見せた攻撃や守備が、そのまま4年間を通じてやろうとしていることでないのは確かだろう。
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