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フットボールマネーを追え!【03】Jリーグが見習うべき欧州スタジアムの『おもてなし』。工夫は観客を呼び、“どんぶり勘定”はリーグ衰退を招く

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

経営勘の欠如がリーグのパワーダウンを招く

フットボールマネーを追え!【03】Jリーグが見習うべき欧州スタジアムの『おもてなし』。工夫は観客を呼び、“どんぶり勘定”はリーグ衰退を招く
プラティニ会長がUEFAに加盟するすべてのクラブに求めたのは、シーズン毎の収支バランスと簿外取引を認めない黒字経営だ【写真:Getty Images】

 そうした文化的背景もあるのか、彼らは、きちんとした試算表を作成し、それに基づいてビジネスを展開するというよりも、どちらかというと、その場のどんぶり勘定で取引を成立させる傾向性が強いのではなかろうか。

 ただでさえサッカービジネスの試算表には、通常のビジネスとは違って明文化できない項目がたくさんある。多額の分配金が得られる欧州チャンピオンズリーグの優勝はもちろん、CL出場をかけたリーグ戦の勝ち星やゴール数、大枚をはたいて獲得した選手の出来不出来もあれば、ケガもある。

 そうしたなかで、利益を上げていくのは、確かに難しいだろう。

 プラティニ会長がUEFAに加盟するすべてのクラブに求めたのは、シーズン毎の収支バランスと簿外取引を認めない黒字経営だ。しかしそれは言い方を変えると、精度の高い試算表の作成とその運用ではなかろうか。

 選手に試合勘があるように、経営者には経営勘というものがある。

 昨今のセリエAのパワーダウンは、FFP導入によるところが大きいが、それはとりもなおさず、彼らの経営勘では対応しきれなかったということではあるまいか。

 しかし今後は、ユベントスのように自前の本拠地を持ち、スタジアムビジネスを積極的に推し進めることによって、マッチデー収入を飛躍的に拡大させられる可能性も出てきた。

 さもなければ、損失を穴埋めするために、新たなオイルマネーの金脈を探るべく、ボーリングの穴を空け続けていかなければならなくなるかもしれない。

【04に続く】

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