ブラジルやアルゼンチンは南米でも特別
――準決勝、ブラジルがドイツに1‐7の大差で敗れ、現地では「マラカナンの悲劇」(マラカナッソ)を上回る、「ミネイロンの恥辱」とも言われています。
ブズー「本来、ブラジルとドイツが戦えばどちらが勝ってもおかしくない。あそこまでの大差は誰も予想していなかったはずです。通常は見られない結果になってしまいました」
ペレダ「2億人のプレッシャーは、尋常ではないですよ。1950年、ブラジルW杯で起こったマラカナッソでも国民の期待が非常に大きかったと聞いています」
――マラカナッソは、もうひとつの当事者であるウルグアイではどのように言い伝えられているのですか?
ブズー「マラカナッソという言葉はウルグアイでも使われます。直訳すれば『マラカナンの衝撃』、意訳すれば『マラカナンの歓喜』ということになるでしょうか」
ペレダ「試合のあった7月16日は、毎年、新聞や雑誌でマラカナッソの特集が組まれます。2点目の決勝ゴールを決めたギジャという選手が唯一の生存者で、メディアによく登場しますね。一方、ブラジルはといえば、選手たちの家族を含めて非常に過酷な人生を歩むことになった」
――お話を伺っていると、控えめというか紳士的な態度ですね。アルゼンチンだったら「ざまあみろ」と嘲り笑うと思うのですが。
ブズー「そう、かもしれない(笑)」
ペレダ「ブラジルとアルゼンチンは南米の二大サッカー大国ですから、ライバル意識が強い。私たちは彼らと対戦するときは負ける可能性があるのを理解しています。二大大国への敬意といってもいいでしょう。そこで勝つことができれば大変うれしい」
ブズー「今回、ウルグアイがベスト16で敗退したとき、ブラジルの人々は心からほっとしたはずです。もし決勝でウルグアイと当たってしまったら……。そんなふうにマラカナッソの幽霊がまだうろうろしていたようですから。これはマラカナッソの影響の大きさを物語っています。あなたも知っているでしょう? あの試合をきっかけに、ブラジル代表はユニフォームの色をそれまでの白からカナリア色に変えたんです」
――またシャツの色が変わったりして。
ブズー「もしかしたらね(笑)」