インザーギ監督の考える“スピード”
「貴方のもとで、ミランはカウンターサッカーをするということか?」
試合後の記者会見で、こんな質問が浴びせられた。実際先制点は、エル・シャーラウィが長い距離を突破して生まれたロングカウンターからだ。
インザーギは、「今日はこういう戦術を採ったまで」と語った上で戦術上のタネを明かした。
「相手のFWは屈強だが(スピードに欠ける分)スペースは空けるだろう。うちのFW陣ならそこを突けると考えた。単にスピードがあるというだけでない。正確なカウンターでボールが運べるのは、技術が素晴らしく錬成されているからこそなせる技なのだ」
つまり本田は、その技術を保証する1ピースとして評価されているということだ。実際1点目は、見方の突破に合わせて前線に走り込み、展開のスピードを止めないまま決め切ったもの。ムンタリの2点目、そして3点目のPKに繋がったアバーテのオーバーラップも、本田のクイックなパス出しにより演出されたものだ。
「本田はウイングに向いていないのではないか?」とメディアが疑問をぶつける傍ら、「このポジションでも活きる」と主張していたインザーギは、もう少し深いところでものを見ていた。
サッカーにおけるプレースピードとはなにも、身体的な速さというだけで演出されるものではない。周囲を把握し、正確でクイックなボールコントロールが出来るかどうかということも重要な要素だ。
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