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移籍即先発のディ・マリア、“マンUのセントラルMF”は適切か? 日本語でボランチも“レアルのインサイドハーフ”とは別物

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

“ユナイテッドのセントラルMF”と“マドリーのインサイドハーフ”は別物

 ただ、ディ・マリアが加わったユナイテッドにとって3-4-1-2は適切なフォーメーションなのだろうか? そして、ディ・マリアにとって“ユナイテッドのセントラルミッドフィールダー”は適切なポジションなのだろうか?

 確かに前述の通り、昨シーズンのレアル・マドリーではインサイドハーフとして起用されていた。しかし、ディ・マリアの前にはクリスティアーノ・ロナウドがおり、対角線上にはガレス・ベイル、隣にはルカ・モドリッチ、後方にはシャビ・アロンソがいた。

 そして、ウイングとして起用された試合以上に献身性や技術の高さから多彩な攻撃パターンを繰り出す姿がクローズアップされたが、それはこのスペシャルな選手に囲まれていたからこそ。

 日本語で言えば同じ“ボランチ”ながら、マドリーのインサイドハーフとユナイテッドのセントラルミッドフィールダーはまるで別のポジション。言うなれば、前者は攻撃的MFで、後者は守備的MFと言える。そもそも、後方にアンカーが居るのと居ないのでは大きく違う。

 ユナイテッドでは、より守備的な強度とゲームメイク能力が問われるだけに、“ボランチ”と一括りに捉えて「ユナイテッドでもボランチで活躍出来る」と考えるのは危険だ。

 ユナイテッドではディ・マリア自身がスペシャルな選手となるため、より攻撃的なポジションでの起用がベスト。そう言った意味でも、フアン・マタの負傷は“怪我の功名”となるかも知れない。

 マタは、ここまでプレミアリーグの全試合でトップ下として先発して1ゴールを記録しているものの、満足なパフォーマンスは出来ていない。それでも、当時クラブ史上最高額だった3710万ポンド(約64億円)を費やしているだけに易々とベンチに置くことは出来ないはず。

 負傷の度合いは分からないが、しばらくマタが戦線離脱することになれば選手層には不安が残るものの、ディ・マリアをトップ下として迷い無く起用出来るため、決定的な仕事をする可能性も広がるだろう。

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