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大型補強もバランス崩壊、アンチェロッティの影は薄く――。それでもレアル指揮官には安定と結果が求められる

昨季CLを制したレアル・マドリー。にもかかわらず、チームは大型補強を止めない。100億円を超える移籍金でハメス・ロドリゲスを獲得し、トニ・クロースも補強。しかし地味ながらもチームに欠かせない存在だった功労者を放出した。バランスを失った白い巨人だが、指揮官には昨季を変わらないような結果が当然のごとく求められる。

text by 江間慎一郎 photo by Getty Images

ユニフォームの売上。実は多くても34億円程度

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カルロ・アンチェロッティは、いかなるガラクティコを率いようとも、11選手で均衡の取れた星座を形成することを義務付けられている【写真:Getty Images】

 マドリッドの中心街を歩いていると、レアル・マドリーの新たなオフィシャルショップを目にした。これまでソル広場付近に1店舗だけだが、ここ1年で半径500メートル以内に3店舗が存在している。

 マドリッドでは中心街のほかに本拠地サンティアゴ・ベルナベウ、郊外のラス・ロサス、そしてバラハス国際空港にもクラブの直営店があり、これで合計6店舗。マドリッドを訪れる観光客は模造品で妥協することなく、本物のユニフォームを手にする機会が保証されている。

 近々、メキシコにもオフィシャルショップをオープンさせるマドリーだが、直営店を増やす理由は収入を増やすためにほかならない。ユニフォーム(正規価格85ユーロ)販売におけるクラブの収入は、スペイン国内であればIVA(付加価値税)21%、原価、販管費などを差し引き、販売代理店で価格の10%程とされ、直営店では20%程に増える。

「スター選手の獲得費用はユニフォームの売り上げで元が取れる」とよく言われるが、現実はそう甘くない。2013年のマドリーのユニフォーム総売り上げは140万枚(その内90万枚がクリスティアーノ・ロナウドのユニフォーム)であり、今年の収入に関しても、多く見積もっても2000~2500万ユーロ程(約27~34億円)だろう。マドリーはガラクティコ(銀河系選手)獲得におけるマーケティング効果を効率よく収入につなげることを目指し、直営店を増やし続けているのだ。

 だがしかし、である。マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウは、ソル広場から北に約4.5キロの場所にあるパセオ・デ・カステジャーナにしか存在しない。そしてマドリディスモ(マドリー主義)の神殿で、アウディ社のシートに腰を下ろしてガムを噛み続けるカルロ・アンチェロッティは、いかなるガラクティコを率いようとも、11選手で均衡の取れた星座を形成することを義務付けられている。

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