ユニフォームの売上。実は多くても34億円程度
マドリッドの中心街を歩いていると、レアル・マドリーの新たなオフィシャルショップを目にした。これまでソル広場付近に1店舗だけだが、ここ1年で半径500メートル以内に3店舗が存在している。
マドリッドでは中心街のほかに本拠地サンティアゴ・ベルナベウ、郊外のラス・ロサス、そしてバラハス国際空港にもクラブの直営店があり、これで合計6店舗。マドリッドを訪れる観光客は模造品で妥協することなく、本物のユニフォームを手にする機会が保証されている。
近々、メキシコにもオフィシャルショップをオープンさせるマドリーだが、直営店を増やす理由は収入を増やすためにほかならない。ユニフォーム(正規価格85ユーロ)販売におけるクラブの収入は、スペイン国内であればIVA(付加価値税)21%、原価、販管費などを差し引き、販売代理店で価格の10%程とされ、直営店では20%程に増える。
「スター選手の獲得費用はユニフォームの売り上げで元が取れる」とよく言われるが、現実はそう甘くない。2013年のマドリーのユニフォーム総売り上げは140万枚(その内90万枚がクリスティアーノ・ロナウドのユニフォーム)であり、今年の収入に関しても、多く見積もっても2000~2500万ユーロ程(約27~34億円)だろう。マドリーはガラクティコ(銀河系選手)獲得におけるマーケティング効果を効率よく収入につなげることを目指し、直営店を増やし続けているのだ。
だがしかし、である。マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウは、ソル広場から北に約4.5キロの場所にあるパセオ・デ・カステジャーナにしか存在しない。そしてマドリディスモ(マドリー主義)の神殿で、アウディ社のシートに腰を下ろしてガムを噛み続けるカルロ・アンチェロッティは、いかなるガラクティコを率いようとも、11選手で均衡の取れた星座を形成することを義務付けられている。