アグレッシブなプレスとリトリートした守備を両立させたいマリノス
前節の神奈川ダービーは、横浜F・マリノスが川崎フロンターレを2-0で下す完勝で終わった。これでリーグ戦2連勝とし、順位も10位に上げた。
試合開始のホイッスルと同時に、マリノスが勝利への強い意志を押し出した。川崎のボランチと最終ラインにフルスロットルでプレスに行くと、前半3分、左サイドからのクロスが相手のハンドを誘発しPK獲得。マリノスが狙い通り先制に成功した。
試合後、樋口靖洋監督は「選手たちはしっかりとボールを奪いに行く守備をして、ボールを前向きに奪って出て行くという本来の戦いを多くの時間で見せた。それが失点ゼロに終わった結果ですし、得点につながったのだと思います」と話した。
先制直後もマリノスは鋭いプレスをかけたものの、試合の流れが落ち着くと、川崎にボールを持たれた。能力の高い相手ボランチを起点にピンチを作られたが、ただ黙っていたわけではない。
特にMF小椋祥平のファイティングスピリットは凄まじかった。闘志を前面に押し出す背番号6は、中盤で容赦無く相手ボールを奪いに行った。
彼の活動範囲は相手の最終ライン付近にまで及んだ。川崎がロングボールを蹴らないことはわかっており、ビルドアップの起点となる最終ラインやダブルボランチのところにも勢いよく圧力をかけた。
相手の技術も高く、ボールを奪えた回数は決して多くなかった。また、勢い余って相手を引き倒すようなシーンもあった。これに川崎の選手は激高していたが、ボールを前に運びたい川崎にとって小椋は“邪魔な存在”で、小椋から見ればこの時点で心理的に優位に立ったとも言える。すべてのパスワークを潰したわけではなかったが、小椋のボール狩りがなければ、川崎に得点を許していたかもしれない。
とはいえ、チームとしてのプレスが後半にトーンダウンしたのも確か。90分通したマネジメントの中で行く時と引く時のバランス感覚は大事だが、チーム全体が落ち着いてしまった後半は10人の相手にポゼッションを許した。
前線からのプレスがはまらない時の戦い方、あえて相手にボールを持たせるという時間の進め方に改善の余地がある。
その意味で、今節のべカルタ仙台戦でマリノスがどのような戦いを見せるか注目だ。