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フットボールマネーを追え!【02】サッカーはファンがいて“なんぼ”。マッチデー収入で他を凌駕。観客を魅了してやまないプレミアリーグ

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

サッカークラブの経営はファンがいて“なんぼ”の世界

フットボールマネーを追え!【02】サッカーはファンがいて“なんぼ”。マッチデー収入で他を凌駕。観客を魅了してやまないプレミアリーグ
スタジアムに詰めかけたファンは、敵陣に向かって狼煙を上げるだけではなく、愛煙家は、タバコの煙をくゆらしながら、実に楽しく試合を観戦している【写真:Getty Images】

 欧州と日本とでは、サッカー観戦における決定的な違いがもうひとつある。タバコの問題である。

 今や日本では、タバコが市民生活からバッサリと切り捨てられようとしているが、欧州では、レストランを除いて、いまだに路上での喫煙などがごく一般的である。

 そしてそれは、サッカーの試合中であっても例外ではない。禁煙のスタジアムを探すほうが難しいほど、どのスタジアムでも自席で試合を満喫しながら喫煙もできる。

 アヤックスの本拠地アムステルダム・アレナでも、ACミランのホーム・サンシーロでも、スタジアムに詰めかけたファンは、敵陣に向かって狼煙を上げるだけではなく、愛煙家は、タバコの煙をくゆらしながら、実に楽しく試合を観戦している。

 しかし、だからといって、そのことが入場者数を増やしているとは思えないが。

 大きく3つに分けたクラブ経営の収益構造のなかで、放映権収入とコマーシャル収入は、国外などへの営業展開も十分に可能で、いわば動ける収入源である。

 しかしマッチデー収入は、たった1つのスアジアムからしか得られない。しかもスタジアムは、動かすことができないため、ファンに自らの意思でその場所に来てもらわなければならない。

 サッカークラブの経営は、ファンがいて“なんぼ”の世界である。

 ユナイテッドのファンは、世界中に2億人とも3億人とも言われることもあるが、おおよそ8,000万人くらいが妥当な数字ではあるまいか。だが、それさえもすごい数字であることには変わりはない。

 ユナイテッドやアーセナルなどプレミアリーグは、放映権収入をはじめ、海外の営業活動から得られる収入の比重が非常に高い。その理由は、大英帝国時代の旧植民地政策によるところが大きいからだ。

 しかし、マッチデー収入だけを取り出しても、プレミアリーグは、他リーグに差をつけている。

 雨が降っても、雪が舞っても、気温が氷点下になっても、炎天下のなかでも、なぜファンは、せっせと『夢の劇場』をはじめ、プレミアリーグの試合会場に足を運ぶのだろうか。

【03に続く】

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