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フットボールマネーを追え!【02】サッカーはファンがいて“なんぼ”。マッチデー収入で他を凌駕。観客を魅了してやまないプレミアリーグ

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

Jリーグに抜け落ちる「ホーム&アウェー」の魅力

 また、魅力度数は極めて低いものの、平均観客動員数では世界12位にランクされる日本のJリーグについては、一見すると健闘しているようにも思えるが、実はこんなカラクリがあることを忘れてはならない。

 ホーム&アウェーというサッカーではもっとも大事な要素が完全に抜け落ちているということだ。

 日本では、ホーム・ゲームであっても、一方のゴール裏を敵に渡すことが当たり前の習慣になってしまっている。ときには、ホームのファンよりもアウェーのサポーターのほうが多いという摩訶不思議な現象さえ起きている。

 そうでもしない限り集客できないといったクラブ側の切実な台所事情があるからだ。

 しかし欧州サッカーでは、天地がひっくり返ったとしても、ホームのゴール裏を相手チームのサポーターに提供することは絶対にしない。もし渡すとしても、ゴールの真裏は必ず避ける。

 しかも、コーナーフラッグの上のほうにある逆三角形状の一角だけを与えるなど、どんなに多くても全席数の1%にも満たない数しか渡さない。それがサッカーだからである。

 その結果、こんなことが起きることもある。

 ブンデスリーガの古豪ベルダー・ブレーメンの本拠地ヴェーゼー・シュタディオンでは、試合終了間近になって、その試合がホーム側の勝ちゲームだと誰の目にも映ったときには、メインスタンドの中央付近から、ひとによる大きなウェーブが始まり、そのウェーブがほとんどのファンを巻き込んで、瞬く間に場内を勢いよく3周もするのだ。

 そのとき、わずか数10人しかいないアウェーのサポーターたちは、その様子を、ただ指を咥えてじっと我慢するしかない。

 その光景は、天下分け目の試合でもなく、カテゴリーの昇格や降格にも関係なく、単なるリーグ戦で繰り広げられるのである。

 そうした喜びを共に分かち合うファンの心には、チームに対する愛着心がより一層芽生えるだろうし、毎試合、スタジアムに足を運ぶのが楽しくなるのではなかろうか。

 もし日本のJリーグで、この欧州基準のホーム&アウェー文化を採用したら、入場者数が大幅に減ってしまうに違いない。

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