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Jリーグ 10年前

基本は優勝より残留!? 夏の大型移籍に象徴されるJクラブの悲しいリアリズム

text by 大島和人 photo by Getty Images , Asuka Kudo / Football Channel

優勝より、まず残留

基本は優勝より残留!?夏の大型移籍に象徴されるJクラブの悲しいリアリズム
好成績は人件費を押し上げる要素でもあり、鳥栖が監督を解任した一因とも言われる【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 どこも年間予算を立てて経営しているが、大企業をバックに持つクラブは“別の財布”を持っている。優勝、ACLの争いも当然にシビアだが、そんなときに“別の財布”は開かない。しかし降格のピンチを迎え、何らかの形でSOSが発せられると、クラブは“ネガティブボーナス”を手に入れることができる。独立採算でいざというとき“親”を頼れない甲府と違い、名古屋、C大阪、大宮、徳島はワールドクラスの大企業がバックについている。

 よいか悪いかは別にして、これは“合理的”な経営なのかもしれない。Jクラブが優勝したとして、手に入る優勝賞金は2億円。AFCチャンピオンズリーグへの出場には名誉とロマンこそあるが、リーグ戦への負の影響、移動費や運営費を考えるとマイナスも大きい。好成績は人件費を押し上げる要素でもあり、鳥栖が監督を解任した一因とも言われる。もちろん、優勝はサポーターや選手、監督にとって最高のカタルシスなのだが、お金の部分に限れば必ずしもハッピーな話ではない。

 一方で降格は集客、分配金などへの影響を考えると明確なマイナスだ。“降格を機にクラブが再生した”という広島や柏の例はあるが、実際はJ2の泥沼に苦しむクラブのほうが多い。J1が予算30億円前後の“横並び”で競い合い、成績的にも上下の格差が小さいリーグになっている一因は「勝って得しない。負けて損する」仕組みが一因なのではないだろうか? それを解消しようというなら、J1の優勝賞金を上げるなど、勝利の重みに報いる制度変更が必要だ。

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