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フットボールマネーを追え!【01】欧州リーグを発展させた放映権料と常識外の赤字経営

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

サッカービジネスでの成功は「有名選手の獲得と試合に勝つこと」

 2014年のW杯優勝国であるドイツの数値がその他の欧州勢に比べてやや低く感じられるが、ドイツは日本と同様、GDPに占める自動車産業の割合が10%にも達するため、サッカー文化指数が低く抑えられてしまっていると考えられる。

 しかし日本とドイツだけを比較しても、その差は歴然。日本のサッカー文化は、まだまだ発展途上の段階にあると言えよう。

 リーガ・エスパニョーラは、バルセロナとレアル・マドリーの2強だけでリーグ全体の40%ものシェアを有することや、もともとの数値も183と極めて高いため、この2強がスペインの国民経済全体に及ぼす影響力がいかに大きいのかがうかがえる。

 イングランド・プレミアリーグは、海外から得られる放映権料が膨大な額に上ること、そしてGDPの数値がイングランド単体のものではないため、数値はさらに高くなる。

 このように欧州サッカーの5カ国だけを取り出してみても、日本と比べた場合、サッカーが生活の一部であるということが多少なりとも数値で証明された。

 そしてサッカービジネスで成功を勝ち取るためには、経営手腕やマーケティング力もさることながら、なんといっても有名選手の獲得と試合に勝つことである。

 その稼ぎ頭となるUEFAチャンピオンズリーグが1992年に一新されたことと、90年代後半からの衛星放送の急速な普及は、今から1,000年以上前の中国で、活版印刷の発明によって紙による文化が一気に開花したように、サッカービジネス文化を急拡大させた。

 しかしその反面、今回のFFPでも浮き彫りになったように、各クラブが管理する貸借対照表の紙面上で、負債欄に記された多額な人件費がクラブ経営を圧迫させたのは言うまでもない。

 1987年に現役を退いたプラティニ会長の選手時代には、UEFAチャンピオンズカップ(CLの前身)の勝利者が得られる報奨金は微々たるもので、衛星放送は愚か、有料放送さえなかった。そのプラティニ会長の目には今、欧州サッカーの明るい未来の映像が鮮やかに浮かんでいるに違いない。

【02に続く】

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