文化の違いを示す4つのコード。日本は人間関係を重視
日本企業の経営は、1990年ごろまでは日本社会固有の株式持ち合いや護送船団方式が主流だった。
しかしその後に起こったバブル崩壊や、「もの言う株主」の登場により、経営の舵取りを大きく変えざるを得なくなったように、民族や国民性によって経営感覚に温度差があったとしても、今回のFFPは、みな一様にクリアしていかなければならないテーマである。
ところで文化の相違について少し触れると、グローバル教育のエキスパートであるマルチカルチュラル・ブレーイング・フィールド社代表の渥美育子氏によると、世界の文化は、価値基盤や判断基準の違いによって大きく4つのコードに分けられるという。
(1)リーガルコード(法的規範や倫理が重視される)
(2)モラルコード(道徳的規範を中心に、人間関係が大事)
(3)レリジャスコード(宗教的規範が絶対である)
(4)ミックスコード((1)~(3)のコードのうち、2つ以上の要素が混在)
これを元に13/14シーズンのUEFAチャンピオンズリーグのトップ4を見てみると、レアル・マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督の母国イタリアも、アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督の母国アルゼンチンも、スペインと同じ(2)のモラルコードに分けられる。
日本も同様、(2)のモラルコードに分類されるが、ここで意外なのは、日本人の国民性に非常に近いとされているドイツが、(4)のミックスコードに分類されるという点だ。
そして13/14シーズンでもブンデスの頂点に立ったバイエルン・ミュンヘンの指揮官ジョゼップ・グアルディオラ監督はスペイン出身、つまり(2)のコードの持ち主である。
13/14シーズン終盤、国内リーグで独走態勢だったバイエルンだが、同会長のフランツ・ベッケンバウワー氏はグアルディオラ監督に対して「ドイツサッカーをもっと受け入れてもらいたい」と嘆き節を囁いていたとされる。