パシリに使われ、ピッチ上にも影響。不完全燃焼の高校生活
「高校生活は大変でした。いまは笑って話せますけど、最初は選ぶ学校を間違えちゃったかなぁと思ったくらい」
流経大柏の入学式当日、クラスでは権力争いが早くも勃発。いかにも荒っぽい雰囲気の男が力を誇示し、ある者の胸ぐらを掴んで威嚇している。最初が肝心だと心得ているのだ。バイオレンスな世界に「おい、まじか。こんな毎日だったら泣けるわ」とうなだれた。
話には聞いていたが、流経大柏サッカー部の上下関係の厳しさは想像以上だった。練習前、先輩に挨拶をすると、「おまえさ、声ちっちゃくね?」とすごまれ、おおいに狼狽した。自分ではかなりの大声を出したつもりだったのだ。
ほかにも特有のルールがあった。最寄駅からの自転車通学、先輩が前を走っているとき、後輩はのろのろ追走していてはいけない。スピードを上げて追い越し、いったん下車して元気に挨拶。
先輩が通り過ぎたあと、再び自転車に乗って学校を目指す。ザ・理不尽。まことにアホらしいが、部に定着する鉄の掟だった。
先輩から買い物を頼まれ、ほいほい言うことを聞いていたら、寄ってたかってパシリに使われるようになった。この状況はまずいと気づいたときには手遅れだった。
「1年のときはまだいいんですが、2年になってからがむつかしいんです。部内の立場を後輩が見ていて、あの先輩はあまり強くないキャラだとなめられる。それはピッチ内にも影響します。
新入生に言いたいのは、最初に断れ、ということ。可愛げがない、生意気だと思われても、先々を考えるとそっちのほうがいい。こいつはチョロイと判断されると、取り返しがつかないことになる。まあ、最近は時代の流れで、だいぶ緩やかになっているとは聞きますけどね」