実は契約金の未払いがあったインテルナシオナル
コーヒーを飲みながらの歓談はいつの間にか、Jリーグのチームへの移籍を念頭に置き、条件を探り合う交渉の様相を呈していた。もしも年俸が同額ならば、地球のちょうど裏側に当たる日本の地でプレーするメリットはない。プロとしてのプライドをにじませたフォルランサイドに対して、木村はある案をぶつけている。
「インテルナシオナルとの契約を解除するに当たっては、当然ながら違約金が発生する。それを日本サイドが支払わなくて済むのならば、その金額を年俸に上乗せできるかもしれないと言ったんです。
すると、インテルナシオナルはフォルランに対して契約金の未払い分があったみたいで、それと違約金を相殺することができるかもしれないという話になりました。ブラジルでは3年ほど前から少しずつ景気が後退していて、当時のブラジル国内でおそらくは最高年俸をもらっていたフォルランの存在が、インテルナシオナルにとっても負担となっていたのではないでしょうか」
インテルナシオナルにおける年俸は、日本円にして5億円だった。違約金に相当する金額をプラスした金額が、フォルランの獲得資金として算出された。
木村はフォルランやパブロと一緒に写った写真を添付したメールで、この話をもちかけてきた佐々木一樹Jリーグエンタープライズ社長に条件面での了解を求めた。佐々木が岡野雅夫セレッソ大阪社長とやり取りし、岡野からのゴーサインが再び佐々木を介して伝えられた11月上旬に再び状況が急変する。
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