狙いを持った仕掛けは、前線の選手にとって大事な“個”
ここまで継続的に招集されている川辺は「南野君ならと考えてしまう場面があった」と振り返った。
そこには南野のストライカーとしての能力やこのチームでチャンスをしっかり決めてきた実績もあるはずだが、メッセージのある動き出しでパスを引き出し、そこから成功するにしろ失敗に終わるにしろ、可能性のあるプレーをしてくれることに対する信頼感であり、エースとしての“パーソナリティ”に直結する。
コロンビアのレストレポ監督は「パスを出し、受ける。それが大事な要素であり時間をかけている」と強調した。
その言葉だけ取れば基本的だが、厳しい守備に負けることなく実行し、チャンスに結び付けていくには、相手のディフェンスを外す、あるいは引き付けるといったイメージ共有を高めることが大事になる。
A代表でも大きなテーマとなった“個”と言うと身体能力やドリブルの突破力に特化して考えがちだ。
もちろん、そうした部分が勝負の要素になることは間違いないが、試合の中で相手との間合いを見極め、崩しのために意図のある動きをして、狙いを持った仕掛けをしていくビジョンは特に前線の選手にとって大事な“個”の力となる。
確かに同じメンバーでやっていれば、味方の動きも掴めてくるものだが、相手にとって嫌な場所を突いて行くポイントは別のところにあるだろうし、そのメッセージ性が高いほど、短い時間で距離感やタイミングを掴むのも早くなる。
その部分で南野が日本の同年代の選手より飛び抜けた存在であることは間違いない。
そうした部分は意識次第で改善していけるものだと筆者は考えるが、U-19アジア選手権まで2カ月を切っている。ここでベスト4以上に勝ち上がれなければ、4大会連続でU-20W杯に行けないことになってしまうため、何としても現在のベストメンバーで臨んでほしいところだ。