「日本の大人たちを見て若い人や子供達は夢を持てるのかどうか疑問」
――今後の目標は?
「前は日本代表、ヨーロッパでプレーって言ってましたけど、今は一人の選手として観てくれるお客さんを喜ばせるがどうかを追求したいです。それは自分にとっては得点すること。自分が得点することでチームが勝ち、自分の給料も上がる。そのことで家族も喜ぶ。
また勝利することでチームスタッフみんな喜ぶ、サポーターも、その家族も喜ぶ。そんな風に想像すると、どっかに移籍することよりは、まずは自分がこのチームで得点して良いプレー見せることにこだわる選手でいたい。結果、チームの勝利、ACL、クラブW杯出場につながればいいと思います」
――南米、アジアと海外経験は豊富ですが、日本にいる若い人達へメッセージをお願いします。
「海外に出ると物の見方が変わります。要は絶対っていうことがないです。そういう考えになると、『本当の世界はどうなんだろうか?』という思いからなんでも自分で行動するようになります。
僕もそうでしたが、日本にいるとテレビやネットであらゆる情報が取れるからなんでも知っている気になってしまいます。しかし自分で行動するようになっていく過程で、自分の中の常識が変わって、そして付き合う人も変わってきます。
今の日本にいる若い人たちにとって今の時代はとても苦しいものだと思います。多くの人が若い人に向かって『夢を持て』と言いますけど、夢を持てと言われても日本の大人たちを見て若い人や子供達は夢を持てるのかどうか疑問です。
実際僕自身本当にサッカーがしたかったのか? 疑問に思ったこともありました。ただ周りの期待に乗せられてやってきたのかと考えたりしました。それでも必死サッカーを続けて、必死にもがいてここまでやってきた自負はあります。
とはいえ、夢を持つというのは簡単なことではありません。でもだからこそ若い人には夢を持ってもらいたいという気持ちがあります。偉そうなことは言えないですが、人に威張れることでなくても何か単純なことでもそれを実行することで誰かを笑顔にしたり喜ばせたりすることができる大人を目指すのもいいかもしれませんね。
自分にとってはそれがボールを蹴るということです。自分がボールを蹴っている姿を見て何かを感じてくれて、何か夢を持ってくれるきっかけとかメッセージになってくれたらいいかなと思っています」
【了】
記事提供:ASEAN FOOTBALL LINK
プロフィール
下地 奨 / Shimoji Sho
2008年にサガン鳥栖に入団。3シーズンプレーした後、スポルティボ・ルケーニョ (パラグアイ)に移籍。その後ブラジルのCAアトレチコ・リネンセとEsporte Clube Aguia Negraでプレー。2013年シーズンより、タイ・プレミアリーグのBECテロ・サーサナFCに所属。2013年はタイプレミアリーグオールスターに選出された。