定位置奪回を狙う吉田、生き残りへアピールの機会はあり
問題のCBは、能力的にはフォンテ、吉田、ガルドスの3名が横並びの状態だ。もちろん、順列では吉田が3番手。フォンテは移籍4シーズン目にして過去最高の安定度を示したばかり。ガルドスは新監督の「買物」だ。
とはいえ、いずれも絶対的な実力者ではなく、第3CBにもアピールの機会は必ずや訪れる。
そこで求められる点は2つ。1つはリーダーシップを発揮する意識の強化。吉田の長所には、いわゆる「日本人的特長」か、ユニットの中で周囲とのバランスを意識したプレーもあるが、絶対的なCBへと脱皮するためにも、ロブレンに負けていた「仕切る意識」を前面に押し出してもらいたい。
もう1つは集中力。これは、移籍当初から英国人記者の間でもフィジカル対応と同等以上に改善の必要性が指摘されていた弱点だ。
例えば、昨季半ばのアストンビラ戦(2-3)。前半15分、吉田は視界に捉えていたはずのガブリエル・アグボンラオールにハーフウェイライン付近で易々と裏を取られ、先制ゴールへの独走を許している。
本人にすれば昨季のリーグ戦初出場。控え組が出場機会を得たリーグカップ戦での前回出場からも1カ月近くが経過していた。だが、プレミアで定位置奪回を狙う者に「試合感の鈍り」という言い訳は通用しない。
メディアでは、軽症を負っていたフォンテを休ませた吉田起用が「裏目に出た」と言われた。ファンの間で吉田の評価が下がったのも、この一戦でのこの1プレーだったと言える。
繰り返しは許されない。サウサンプトンとの契約最終年に当たる2014-15シーズン。チームと共に「プレミア生存」を賭けた吉田の闘いが始まる。
【了】
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