ケネディと闘莉王が復帰しても勝てなかった
Jリーグ最高の監督は誰か、という問いには様々な意見があると思う。だが残した成績だけを見れば、西野朗監督のキャリアは群を抜いている。
監督としてJ1通算最多勝利数を持ち、リーグ屈指の名将である西野監督は、今シーズンから名古屋グランパスで指揮を執っている。
2010年以来のリーグ制覇を目指すクラブにとって、これ以上ない“補強”だ。しかし結果がついてこない。前節を終えての順位は16位。ここまでわずか5勝しか挙げられず、ついに降格圏内に入ってしまった。
再開後勝利がないだけでなく、中断前から数えると7試合勝てていない。おまけに前節・鹿島アントラーズ戦では、与えなくていい失点も与えて敗れた。
大卒2年目のDF牟田雄祐がパスを繋ぐのか大きくクリアするのか逡巡している間に、ダヴィが詰め寄る。慌てた牟田はクリアするも時すでに遅く、ダヴィに拾われ得点を許した。
名古屋にとっては試合の流れを変える痛恨の失点であり、牟田はひとつの迷いが大ピンチに直結すると改めて思い知らされただろう。
それまで離脱していたFWケネディとFW田中マルクス闘莉王という攻守の要が揃って復帰したこともあり、前節は絶対に勝たなければならなかった。2人の復帰試合で勝利を手にできればチームは浮上のきっかけを掴めたはずで、逆に敗れれば『彼らがいても勝てないのか』という嫌なムードがチーム全体に流れる。
それほどの影響力と実力を兼ねた2人が復帰しても、そして2度のリードを奪いながらも逆転負けを喫してしまった。
新加入のMFレアンドロ・ドミンゲスのパスに、リーグ屈指の快速を誇るFW永井謙佑が裏へ抜け出すという形は見えつつある。彼らのホットラインが開通すれば名古屋にとって大きな武器になると思うが、今はまず守備の整備が先だろう。
今節で戦うガンバの破壊力を食い止めるには、言うまでもなく90分集中し続けなければならない。前節に致命的なミスで相手に得点を献上した牟田を使うのかは西野監督の決断次第だが、牟田も能力の高い選手だ。あのミスを乗り越えて更に奮起してもらいたい。
西野監督はかつてガンバをJリーグ最強のチームに育て上げ、そのスタイルは今もガンバに息づいている。そんな古巣を相手に名古屋の指揮官となった名将はどのような采配を見せるのだろうか。
【了】
関連リンク
ベテランが感じたドイツと似た空気
『攻め勝つ』ガンバ大阪の流儀
ガンバ大阪 宇佐美貴史選手の1対1に負けないドリブルテク講座
今野泰幸 一歩一歩、着実に前へ
遠藤保仁、W杯を語る。日本サッカーが手にした知性