勝利をもたらす宇佐美の活躍
前節、8年ぶりの5連勝を飾ったガンバ大阪にあって、大車輪の活躍を見せているのがFW宇佐美貴史だ。宇佐美については今更多くの説明は必要ないだろう。今シーズンは怪我で出遅れたが、復帰後の活躍は目覚しい。
相手が寄せてきても全く動じず、ディフェンスのマークを逆手に取るように宇佐美は落ち着いて相手をかわす。前節の大宮戦では相手の寄せを気にすることなく右足を振りぬくと、ニアサイドの上に鋭く突き刺した。
高校生でJリーグデビューを果たすと19歳にしてバイエルン・ミュンヘンに移籍するという、才能に見合うだけのステップを踏んできた。あのままバイエルンに残れていれば今頃どうなっていただろうか。だが結果的に、ドイツでのチャレンジは道半ばで終わりを告げる。
帰国した時のガンバはJ2を戦っていたが、宇佐美は18試合で19得点を叩き出しJ1復帰に大きく貢献した。
今シーズンも一時は降格圏内まで落ち込んだが、宇佐美の活躍もあって前節を終えた時点で5位まで上がってきた。“強いガンバ”の存在はJリーグを盛り上げる要素のひとつだが、ようやく本来の位置に戻ってきたといって良さそうだ。
MF遠藤保仁やMF今野泰幸ら経験豊富なメンバーの存在は何よりも心強く、夏に加入したFWパトリックの存在はガンバの攻撃力アップを後押しする。これまでは宇佐美と組むストライカーがおらず、前線の組み合わせも定まらなかった。宇佐美自身も怪我のため試合に出場できず、ガンバの攻撃は決め手を欠いた。しかし宇佐美が復帰し、パトリックが加入したことで前線の悩みは解消されていった。17節のヴィッセル神戸戦で彼らは揃って2点ずつ奪い、チームに勝利をもたらした。
守備陣もDF西野貴治がスタメンを確保し、まだ20歳だが頼りになる選手になってきた。他のクラブにも将来の日本代表入りが期待されるセンターバックがいるが、今のパフォーマンスを続けていけば西野も候補に入ってくるはずだ。
長谷川健太監督体制も2年目となり、ベテランがチームを落ち着かせ、若手はノビノビと持ち味を発揮。
そして再開後は15得点1失点と絶好調だ。ここにきてガンバは非常にバランスの取れたチームに成熟しており、今後更に上位戦線をかき回す存在になりそうだ。