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ジュニサカ 10年前

専門家が指摘する日本代表のメンタル面での問題。今後の日本サッカーに必須な育成年代からの“心の強化”

text by 木之下潤 photo by junior soccer editorial staff

普段からのメンタル強化が駆け引き上手につながる

――冒頭に「心理戦術」という言葉が登場しました。具体的には、どういうものでしょうか。

 例えば、プレーを心理的な側面で見ると、大きく4つにわけられます。意図があるかないか=縦軸。また統制(コントロール)があるかないか=横軸と設定した場合、一番悪いプレーから順番にお話します。

 最悪なプレーは、左下の「衝動的」です。これは感情がコントロールできていない上に、意図・目的もありません。次にダメなのは、左上の「敵意的」で「意図・目的は感じられるが、敵意むき出しのこと」です。この状態に陥っている選手はファウルされたら仕返すとか、イライラして文句を言ってしまったり、興奮しすぎてプレーに無駄な力が入ってしまうなどになりがちです。

専門家が指摘する日本代表のメンタル面での問題。今後の日本サッカーに必須な育成年代からの“心の強化”
攻撃性のタイプ

 少し良い方向に向いているのは、右下の「達成的」で、「統制がとれて感情のコントロールはできているが、意図・目的が感じられないこと」です。ようは、自分の心をコントロールできているが、意図や目的なく、ただしたいことを相手に関係なくこなしているだけ。またはチームメイトをを気遣うあまり、ミスを恐れ相手が見えなくなり、ドツボにはまっていく…。つまりガンガン一生懸命になってやっているだけということですね。もちろん、一番良いのは右上の「戦略的」で、「統制がとれて感情のコントロールができている上に、意図・目的が明確であること」です。相手の心理面も感じながら、一喜一憂することなく、心理的な意図・目的を持って駆け引きもできる状態です。最悪なプレーである左下とは、対極上に位置します。

 サッカーは相手がある競技なので、当たり前ですが、駆け引きが発生します。相手の心理戦術を感じ、したいことをさせず、いやなことをしていく。サッカーのルールの中で、それが是認されています。またワールドカップのような名誉ある大会では予期せぬ自体が起こるものですから、本当の意味で心の準備が重要です。技術や戦術を4年間かけて作り上げることと同様に、メンタル面も知識のある人間が心のコンディションやコントロールができるよう、指導者や選手にどうすればいいのかを気付かせて、普段からメンタルも養えるようにアドバイスをできる存在が大事です。

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