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日本代表 10年前

選手選考、戦術、規律、育成――。代表を追う記者が4テーマから読み解く、ザックとアギーレ監督の違い

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

違いその2:戦術、その3:規律

 これがイタリアならば、多くの代表候補を抱えるユベントスとミランの選手を軸としながら、ナポリやローマ、あるいは他国で活躍する選手をオプションとして加える様な形もとれるが、日本の場合は事情が全く異なる。

 ザッケローニ前監督も就任当初はもっと柔軟な選手選考をイメージしていたはずだが、代表チームを率いる試行錯誤の中で、特にアジア予選の期間中は慎重な選考になってしまったのだろう。

 その点でアギーレ監督が二度のW杯を経験していることは大きなアドバンテージだが、実際に日本の選手たちを率いる中で、競争力と戦術理解をどこまで共存させていけるかは4年間のキーポイントだ。

 戦術面に関して「バランスを重視したい」と語る通り、基本的な考え方はザッケローニ前監督と大きな違いは無い。ただし、「このレベルまで来ると1つのシステム(だけで戦うこと)はありえない」と抱負を語りながら結局は4-2-3-1が固定システムになった前体制と異なり、実戦レベルで対戦相手や状況によって形や選手の配置も変化させることに、もっとこだわるのではないか。

 また攻撃に関して、前監督はサイドを起点とした攻撃を重視したが、新監督はスペインでの戦いぶりを見ても、いくつかの戦い方をフレキシブルに選択できるチームを目指すはず。ここは決して強豪とは言えないクラブでビッグクラブと渡り合ってきたアギーレ監督の強みだからだ。

 柔軟性の高い戦術を植え付け、しかも競争力を低下させないために必要なのはチームの規律だ。ザッケローニ監督は良い指導者であったことは間違いないが、規律面に関して選手任せの部分も見られた。

 日本の選手は目に見えて不真面目な態度や争いを起こすことが少ないが、それがなれ合いになる傾向もある。限られた期間で、良い意味での張り詰めた雰囲気を作り出すことはアギーレ監督に求められるところで、それが勝負強さにもつながるのではないか。

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