主力を継続的に招集したザック。弊害も
アギーレ新監督にはこれまで非常に厳格なイメージを持っていたが、今回の会見を通して誠実な一面を見ることができた。突拍子もない質問や内容的に繰り返しとも思えるような質問にも、嫌な態度もせずに受け答える姿はザッケローニ前監督のそれに相通じる部分がある。ただ、ピッチ上ではより勝負師のキャラクターが強い。
日本代表において、実際にどう強化していくかは現時点で未知数な部分は大きいが、発言から読み取るならば前監督よりもチーム内の競争が期待できる。冒頭の挨拶から「ユース世代の育成にも関心を持っている」と語ったのは4年間を見通す上で重要なメッセージかもしれない。
ザッケローニ前監督は2011年のアジアカップで平均25.1歳のメンバーを引き連れて優勝したが、当時の若手も多くは岡田ジャパンで招集経験のある選手たちだった。そのうち13人がブラジルW杯のメンバーに入ったわけが、4年間を通じて主力はほとんど変わることなく、後から定着した選手たちの多くが本大会まで1年を切った昨年7月の東アジアカップで台頭した選手だった。
「代表の扉は常に開かれている」は前監督の決まり文句の1つであり、実際にJリーグの試合に数多く足を運び、映像チェックとスタッフとの情報交換から若手選手を招集したこともあった。
しかし、結局は主力の継続的な招集が優先されてきたことが、競争力の低下につながったことは確かだろう。昨年8月のウルグアイ戦で青山敏弘を選出した時のコメントがザックジャパンを象徴している。
「一度だけ短期合宿に呼んだことがあったが、その後は招集をしていなかった。しかし、その後の3年間も見ている。非常に気に入っている選手だ」