成長出来る環境とビッグクラブへの道が広がるバーゼル
もちろん、このプレーだけではなく、ファーストプレーとなるファールで止められたドリブルも、裏を狙う動きも、移籍初ゴールもスピード感のあるプレーであり、パウロ・ソウザ監督の狙い通りだったはず。
バーゼルにとって難しい展開で、試合の流れを変えなくてはいけない状況での起用とあって、監督の期待の高さも伺える。柿谷にとってもこのチャンスを生かすどうかは今後を大きく左右するものだったが、その評価を大きく高めたはずだ。
ただ、得点経過を見ても分かるように4得点全てにガシ、ゴンザレス、ズッフィ、デルガドという2列目の選手が絡んでいる。さらに、FWのシュトレラーは主将でありクラブのレジェンドとなる存在だけに強力なライバルだ。やはり、リーグ5連覇中でチャンピオンズリーグ常連クラブは選手のレベルが高い。
しかし、シュトレラーは192cmと長身でフィジカルが強く、ポストプレーを得意とする選手。柿谷とは真逆のタイプということもあって、チームの戦い方に幅を与える存在として重宝されるだろう。
また、2列目で起用されるにしてもハイレベルな選手たちとの競争は成長を大きく促してくれる上、国内リーグのレベルは高すぎず低すぎずといったところで、海外初挑戦の柿谷にとってプレーしやすいと言える。
その一方でバーゼルはチャンピオンズリーグにも出場するため、より高いレベルでのプレーも出来る。そして、チャンピオンズリーグで欧州各国へのアピールも出来るため、ビッグクラブへの道も広がっている。
近年では、バイエルンのジェルダン・シャキリやチェルシーのモハメド・サラーがチャンピオンズリーグでの活躍をきっかけにバーゼルから羽ばたいている。
バーゼルというクラブは、柿谷が成長出来る理想的な環境が整っている場所だ。移籍先の選択は、良くも悪くも選手のキャリアに大きな影響を与えるが、バーゼルへの移籍という柿谷の選択は正解だったと数年後に振り返るこが出来るはずだ。
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