敏捷性を発揮した柿谷。監督の意図を理解して実践
しかし、後半に入ると戦況は一変。バーゼルは2点を奪ったことである程度引いてカウンターを狙う戦い方にシフトしたものの、全体的に積極性を失ってプレスが甘くなったことでチューリッヒに攻め込まれる場面が多くなった。
そして後半10分、エリア内に走り込もうとしたフランシスコ・ロドリゲスをスヒーがエリア手前で倒してFKを献上。これをアミン・シェルミティが直接決めて2-1。早い時間帯に1点差に詰め寄られた。
その後もチューリッヒがペースを握る状況が続き、同点、逆転という展開もイメージ出来てきた同16分、柿谷がガシと交代でピッチに投入。トップ下だったズッフィが右ウイングに回り、柿谷がトップ下の位置に入った。
1点をリードしているものの、勝利のためにはこの1点を守りながら3点目が欲しいパウロ・ソウザ監督は、カウンターの威力を上げるために柿谷の敏捷性をチームに加えた。
そして、この采配は的中。柿谷も監督の意図を完璧に理解して実践。ファーストプレーのドリブルは相手のファールで止められたものの、その後の活躍を予感させるものだった。
さらに、同点を目指して前掛かりとなっていた相手DFラインの裏を狙う動きを繰り返すと同29分、ズッフィとのパス交換で相手DFの裏に飛び出して移籍後ゴール。欧州でも屈指の熱狂的なサポーター達を大いに湧かせた。
同33分にはシュトレラーがマティアス・デルガドと交代したことで柿谷がセンターフォワードの位置へ。その後、同42分にはトップ下に入ったデルガドのゴールをアシスト。
GKヴァツリークのFKを左サイドで受けてピッチ中央のデルガドへパスを送ったこのアシストは、柿谷の敏捷性が生きたプレーだった。