「チームが勝つためになんでもする」
「腐っている人はここにはいないと思っていた。みんな最後までチームのために出来ることをやっていたと思うし、チームのことを第一に考えて動いていたんじゃないかなと思う」
清武弘嗣は邪念を持たず、日本代表の一員として戦うことだけに集中してW杯に臨んだ。選手であれば誰だって世界最高の舞台に立ちたい。すぐ手の届く場所にいればなおさらだ。控えという立場を受け入れ、チームをサポートしていくことは精神的に容易な作業ではない。
しかし、清武はチームの和を乱すことなく、むしろサブ組のなかでも率先してチームを支えた。
どんな立場になったとしても、自分の出来ることに全力を尽くすと大会前から覚悟を決めていた。コートジボワール戦を3日後に控えた11日、夕食を終えた選手たちはミーティングを開いて一人ひとりが思いの丈を語ったが、清武はそのとき、みんなの前でこう宣言したのだった。
「チームが勝つためになんでもする」
清武がそういった決意を見せた背景には2012年のロンドン五輪での経験があった。
この大会に出場した清武は、選手ミーティングが行われたことで選手全員が一致団結。前評判を覆すベスト4という好成績を残せたと感じていた。清武は「ああいうミーティングがあったからこそ、チームが一つにまとまってあそこまで行けたと思う」と当時のことを振り返る。
だからこそ、今回のミーティングでもはっきりと、自分の考えをチームメートたちに伝えたのだった。