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明確になった選手の役割、全てが連動する3-4-1-2。マンUは昨季と何が変わったのか? 新指揮官のスタイルを読む

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

ヤングの変化が顕著に。批判集中した昨季から大きく改善

 そして、再建を託されたユナイテッドでは、この3バックの面々をジョニー・エヴァンス、クリス・スモーリング、フィル・ジョーンズに変えて戦うことが濃厚だが、ここまでは上々の出だしと言えるだろう。

 ファン・ハール監督自身、ICCでの守備陣のプレーを「我々は守備も良かった。守備の選手も大会MVPの有力候補だったと思う」と称賛するなど、高く評価している。

 しかし、昨季までと大きく異なりそうなのは攻撃面。ICCでウイングバックとして起用されたアシュリー・ヤングのパフォーマンスを見れば分かりやすい。

 昨季のヤングは、ウイングとしてリーグ戦20試合に出場して2得点4アシスト。何より、数字以上にプレーの面でファンを大きく落胆させてしまった。右でも左でも縦一辺倒で多くのクロスを試みるも、そのほとんどが味方に繋がらず、チームが単調な攻撃を続ける最大の要因となっていた。

 しかし、ICCでは昨シーズンとは全く違った姿を見せた。決して縦一辺倒ではなく、中を意識したアストン・ヴィラ時代のプレーが復活。レアル・マドリー戦では2ゴールを挙げる活躍を見せた。

 さらに、昨シーズンに批判の対象となったクロスに関しても質が高く効果的なものを多く供給。このパフォーマンスの改善は、ヤング自身の努力や心の入れ替えだけではなく、チームの全体の改善によるところが大きい。

 昨シーズンは、ファン・ペルシーが「スペースがない」と苦言を呈していたように、前線の選手が秩序なくゴール前に入り乱れていた場面が多かった。チームとして明確な意図がなければファン・ペルシーをターゲットにしても、その他の選手が何人いても易々とクロスを通してくれる相手は少ない。

 特にファン・ペルシーは186cmあるとはいえ、元来はウイングの選手。自らがサイドに流れることで自らがプレーできるスペースを作り出してゴールを奪う選手だ。ターゲットマンとして使うこと自体が的外れだったと言えるだろう。

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